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この物語は、ただの異世界転生ものではありません。主人公マインが「本を読むために生きる」という一途な情熱を抱え、文明レベルの低い世界で“本を作る”という壮大な挑戦に身を投じる姿は、まるで創作の原点を見せられているようでした。病弱で小柄な少女が、知識と工夫で周囲を巻き込みながら少しずつ「紙」や「インク」を生み出していく過程は、まるで魔法のよう。けれど、彼女の原動力は“本が読みたい”という欲望のみ。だからこそ、時にわがままに見える言動も、読者には切実に響きます。彼女の「本がないなら作ればいい!」という台詞は、創作者の魂そのもの。この世界では、衛生環境も文化も現代日本とは大きく異なります。マインが「触らないで!」と叫ぶ場面に、現代人の感覚が垣間見え、異世界とのギャップが鮮やかに描かれます。だからこそ、彼女が少しずつこの世界に馴染み、周囲と関係を築いていく過程が温かく、感動的です。本が当たり前にある世界に生きる私たちにとって、「本を読むために人生をかける」というマインの姿は衝撃的であり、同時に心を打ちます。彼女の情熱は、創作を愛する人間の原点であり、物語を紡ぐ方には、きっと共鳴する部分が多いはず。この第一部は、まさに“創作の火種”のような作品です。