【味の世界史 香辛料から砂糖、うま味調味料まで】をKindleで読了した。
本書は【砂糖の世界史】とやや似た内容であるが、より貿易や歴史に焦点を当てて世界史を描いている点が印象的だった。
タイトルに「味」とあるが、本書では香辛料や砂糖、塩など食に関わる様々な要素が扱われている。そのため、食文化全体を象徴する言葉として「味」という表現が用いられているのではないかと感じた。
本書は香辛料や砂糖の歴史だけでなく、貿易、人種、第二次産業革命以降に発展した食品技術や現代の食文化についても紹介されており、食を通じて世界史を学べる一冊だった。
特に興味深かったのは、古代ローマ時代から香辛料がアフリカやインドとの交易によって流入していたことである。当時の香辛料は贅沢品であり、一部の裕福な人々しか手に入れられなかったと考えられる。また、中世ヨーロッパでは香辛料と医薬品が密接な関係にあり、香辛料商人が薬剤師を兼ねていたことも印象に残った。
現在では当たり前に手に入る香辛料が、かつては世界規模の貿易を動かす重要な商品だったことを改めて知ることができた。また、香辛料が広く普及する以前の料理は現在よりも味付けが単調だったと考えられる。香辛料は料理の風味を豊かにするため需要が高まり、交易の発展や流通量の増加によって、かつては高価だった香辛料も次第に一般の人々が購入できる価格へと変化していったことが分かった。
また、うま味調味料に関する記述も興味深かった。味の素や干し椎茸に含まれるグルタミン酸などのうま味成分は自然界にも存在しており、基本的には安全であること、一方で「無添加だから安全」「天然だから安全」と単純には言えないことが紹介されていた。
特に、昆布やワカメなどに含まれるアルギン酸ナトリウムも、多量摂取によって消化器系に影響を及ぼす可能性があることは初めて知り、食品の安全性について考えさせられた。私はこれまで天然由来の食品は安全だと思っていたが、摂取量によっては影響が生じる場合もあることを知り、食品を正しく理解することの大切さを感じた。
さらに、冷凍食品の歴史についても印象に残った。日本では1920年頃から冷凍食品が作られ始め、1964年の東京オリンピックが技術発展の大きな契機となったという。私は冷凍食品を日常的に利用しているが、その背景には大量調理や保存技術の発展があったことを知った。
また、冷凍食品は一般家庭だけでなく、軍需用物資や災害時の食料としても活用されており、社会を支える重要な存在であることを学んだ。さらに、コロナ禍以降も冷凍食品の消費量や売上が伸び続けていることから、私たちの生活に欠かせない食品の一つであることを改めて認識した。
本書を通して、普段何気なく口にしている食品や調味料が、長い歴史や世界規模の貿易、技術革新によって支えられていることを知ることができた。食という身近なテーマから世界史を学べる点が非常に面白く、私たちの食生活と歴史のつながりについて改めて考えさせられる一冊だった。






















