隕石が落ちて、地球が滅亡するまで残り一ヶ月という極限の状況から物語は始まります。
登場するのは、いじめられっ子の友樹、ヤクザにもなれないチンピラの信士、シングルマザーの静香、歌姫のLoco、そして両親の実子である妹との差を感じてきた養女の雪絵。ずっと生きづらさを感じてきた五人が、地球滅亡を前にして、ようやく自分らしく生きられるようになる姿が描かれます。
「あと一ヶ月で滅びる」とわかったからといって、仕事を放り出し、盗みを働き、人を殺しても当たり前の世界になるのだろうか、という点は深く考えさせられました。いつも通りの生活を送る人と、遊び回る人に分かれるにせよ、盗みや殺人を平気で実行できるほど、人間の倫理観は簡単に変わるものなのだろうか、と疑問に感じました。
極限状態での人々の心の変化、そして生きる意味を問いかける、重厚な作品でした。











