大罪人ハローに課せられた刑罰は懲役339年。
初代ハローは発狂の末獄中死したが、すぐにまた次のハローが生まれる。
これは転生に次ぐ転生を重ね、気の遠くなるような懲役に服し続けるハローたちの物語である……
まず世界観に惹かれる。
物語の舞台は前世の出自ですべてが決まる国。前世が偉人なら現世でも栄達が保証され、前世が罪人なら生まれてすぐ自動的に監獄送り。そんなシステムが根を張る国で懲役刑に服し続けるハローが主人公……とも言い切れず、一巻では主にハロー担当の代々の刑務官の視点でストーリーが進行する。
内容は哲学的にして思想的。罪とは何か、罰とは何か、償いとは何かという深い命題を投げかけてくる。
個性的な画風は好き嫌いが分かれるが、今風の萌え系とは一線を画すカクカクした絵柄が、ウィットに傾き過ぎぬシビアさとドライさを醸すのに一役買っている。
歴代ハローと刑務官、周囲の囚人たちの交流が織りなすヒューマンドラマがメインだが、二代目ハロー担当の刑務官が三代目の時は所長に出世してたり、彼が書いた手記を巡り後の世で陰謀が蠢くなど、登場人物が縦に横に重層的にリンクしていくのが楽しい。
ただ女ハローと刑務官のラブストーリーメインの話は冗長に感じた。
二代目と三代目の話が一話完結で短くまとめられていたので尚更そう思うのかもしれないが、長引いた割に普通にいい話で終わってしまったのが物足りなかった。ハローが麦畑の挿絵に惹かれたのも何かの伏線だと思ったのだが……
いずれにせよ、今後も時代を経るごとに登場するだろうハローたちの運命を括目して待ちたい。














