湊かなえさんの本は読むのが初めてだった
何気なく読んでいてどんどん不穏な様子になっていく
話の過程はすごい
誘拐されて戻ってきた姉は本当に前の姉なのか?
そう疑う安西結衣子
登場人物の巧みな心理描写や不穏な展開は
読んでいて止まらないほどドキドキさせた
幼い頃に失踪した姉が“別人のようになって戻ってきた”違和感を、
妹・結衣子の視点からじわじわ膨らませていく、静かで残酷な姉妹ミステリーだと感じました。
「お姉ちゃん、本物なの?」と思いながらも、その疑いを言葉にできないまま大人になってしまった結衣子の息苦しさが、とてもリアルです。
アンデルセン童話「えんどう豆の上にねたおひめさま」のモチーフも効いていて、
家族の中でただ一人、“小さな違和感”に眠れなくなる妹の姿が痛々しく胸に残りました。
真相を知ってもすっきりとは救われず、自分なら何を信じるのかを静かに突きつけてくる一冊でした。
物語が進むにつれ、記憶や家族、信頼という“当たり前”が揺らぎ、「本物とは何か」「家族とは何か」を問い直さされました。特に、帰ってきた姉に抱いた微かな違和感が、タイトルの「豆の上で眠る」という童話のモチーフと重なり、読後も胸に重く残ります。 
結末は多くの謎、真実だけでなく、感情と倫理の揺らぎまでも明らかにするもので、人によっては凄まじい後味の悪さを感じるかもしれません。しかし、それでも「家族」「記憶」「アイデンティティ」に対する深い問いを私に投げかけてきた一冊で、「どう生きるか」を考えさせられました。
















