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それぞれに違った過去や悩みを抱えた四人の女性たちが、ひとつ屋根の下で少しずつ心を通わせていく様子がとても丁寧に描かれていて、静かな感動がありました。自分の居場所を見つけることの難しさや、誰かと一緒に生きることの温かさ、そして不器用でも前を向こうとする強さが心に残りました。どの登場人物にも愛着が湧き、誰かひとりではなく「みんな」が主役だと思えるバランスの良い物語でした。読後に残るのは、ささやかで確かな希望でした。
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母の鶴代と同居する刺繍作家の佐知。使用人の息子だった山田老人が今も別棟に居住して庭の手入れなど雑用をしながら鶴代と佐知を見守る。
四人の女とは、鶴代と佐知、ふとしたことから同居するようになった佐知の知人二人。なぜこの四人が?と思いながら読み始める読者も同居に至った事情や、佐知の父親が出て行った経緯などが少しずつわかってくる。
さまざまなことがいい方向に向かって終わる感じなので、嫌な感じはしないが、浮世離れした設定に期待するほどの展開はなかったようで物足りない。