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カナダで、しかもコロナ禍という過酷な状況下で乳がんと宣告された著者の実体験を綴った一冊。
読み進めるうちに驚かされたのは、日本とカナダの医療システムの違いです。カナダの人々の大らかで愛に溢れた国民性はとても素敵ですが、日帰り手術や救急での長い待ち時間など、医療現場の現実に「もし自分なら……」と考えると、断然日本で治療を受けたいと思ってしまうほど驚きの連続でした。
特に、抗がん剤治療中に家族全員が体調を崩し、さらに愛猫まで入院することになったエピソードは、読んでいて胸が締め付けられるほど過酷でした。この一冊には書ききれないほどの、言葉にできない苦労や葛藤がきっとたくさんあったのだと思います。
そんな壮絶な状況を支えたのは、カナダの友人たちや日本にいる友人たちの献身的な優しさと助けでした。周囲がこれほどまでに動いてくれるのは、きっと著者自身が誰からも応援したくなるような、魅力あふれる方なのだろうと感じます。
大変な状況の中でも、人の温かさに救われる。異国での闘病を通じて「生きること」と「絆」を深く考えさせられる、勇気をもらえる一冊でした。
