ハグとナガラの関係性がとても素敵で、心に残る作品でした。二人の旅の物語だと思っていましたが、一人旅や、介護のために旅に出られなくなる話も描かれていて、長い年月を追うことで人生の機微がふんだんに盛り込まれていました。
漠然と、年齢を重ねれば、ゆとりができて旅が豪華になっていくのかなと考えていましたが、親の介護に時間を取られ、仕事もままならず、金銭的にも苦しくなって夜行バスでの旅を選ぶハグの姿は、とてもリアルで胸を打たれました。
最初は子どもがいない二人が、自由気ままに旅を楽しめていいなと思っていました。しかし、一人だからこそ頼れる人がおらず、人生は決して楽なことばかりではないのだと思い知らされます。
旅の形が変わっていくように、人生もまた、思い通りにはいかないものだと教えてくれる物語でした。それでも、お互いを思い合うハグとナガラの関係が、温かい光のように感じられました。