表紙の華やかさに目を惹かれる『ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人』
描かれている白い猫は、作中でも登場するホテルの看板猫マダムです。
舞台は横浜の山手にある「ホテル猫番館」
師匠のもとでパン職人として働いていた主人公の高瀬紗良でしたが、事情があって師匠のパン屋は閉鎖してしまうことに。
無職になってしまった紗良は叔父の紹介がきっかけとなり、ホテル猫番館のパン職人として働くことになるのです。
この作品の1番の魅力は、なんといっても美味しそうなパンや料理の描写にあります。
紗良が作り出す自家製パンは種類も様々で、焼き上がったパンの香りが紙面から漂ってくるかのよう。
ホテルの料理長の天宮隼介は不愛想でも腕は確かで、彼の作り出すフレンチ料理も想像しているだけでお腹が空きます。
空腹を感じそうなタイミングで読む際には、くれぐれもご注意を!
ホテル猫番館には上述した料理人二人のほかに、
オーナーの本城夫妻、その息子であるコンシェルジュの要、ベルスタッフの小夏、喫茶室のパティシエの叔父。
なんとも個性豊かな面々が揃っています。
ホテルスタッフである彼ら、そして泊まりにやってくるお客様もそれぞれ色んな事情を抱えていて……
そういったものを主人公の紗良が鮮やかに解決! …するわけではありませんが、
真面目で努力家の紗良と周りの人たちが最後には笑い合えるような、そんな温かい物語がここには詰まっていますよ。