ありがとう
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羽猫家の人々は、それぞれが自分勝手に見えます。4歳で亡くなった末っ子の青磁にとらわれ、家に閉じこもる母。その母から逃げるように愛人のもとへ通う父。夢ばかり追いかけては失敗を繰り返す祖父。商品の物語を作って客に売る祖母。そして、嘘が大嫌いな姉。
そんな家族の中で、山吹が優しく、まっすぐに育ったのは奇跡のようです。恋人の頼との関係も良好で、周りからはぼんやりしているように見られがちですが、自分の幸せをしっかりと考え、掴んでいく姿はとても頼もしく感じました。
家族それぞれの心には、決して消えることのない苦悩や葛藤があります。それでも、その痛みに折り合いをつけたであろう家族全員での遊園地の場面は、心に深く残りました。
それぞれの歪みを抱えながらも、自分なりの生き方を見つけていく羽猫家の人々。家族とは何か、幸せとは何か、深く考えさせられる物語でした。