最初は淡い恋心が丁寧に描かれ、初々しい空気で心惹かれました。  ところが、物語が進むにつれて藩内の争いや投獄、流浪、喪失といった激しく苦しい運命が襲いかかり、読みながら胸が締め付けられるような展開が続きます。それでも、歌子が和歌にすがり、生き抜こうとする姿や、その歌に込められた想いはとても強く、読後にはただの恋物語ではなく、「時代の中で必死に懸命に生きた女性の人生」を感じさせられました。 
正直、読み応えも重みもあり、「気軽に読める恋愛小説」というよりは「人生と歴史と愛と悲しみ」をまとった骨太な作品だと思います。だからこそ、静かに胸に残る、そんな1冊でした。















![アフタヌーン 2026年1月号 [2025年11月25日発売] [雑誌]の表紙画像](https://m.media-amazon.com/images/I/516YFwzdVcL._SL500_.jpg)

