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歴史の陰に埋もれた声なき者たちに光を当てたような、静かで芯のある物語でした。大海原や異国の空気が感じられる一方で、語られるのは名もなき人々の切実な生。派手な冒険譚ではなく、信念や孤独、喪失といった重みがじわじわと心に沁みてきます。登場人物たちのまなざしにはどこか誇りがあり、言葉にされなかった想いが行間に満ちていて、読む側の想像力を揺さぶられるようでした。静かだけど深く、時間をかけて味わいたくなるような一冊でした。