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この物語は、ただの旅ではありません。キノとエルメスが訪れる国々は、どれも“美しい”けれど、同時に“奇妙”で“残酷”でもある。だからこそ、読者はページをめくるたびに「美しさとは何か?」を問い直されるのです。キノが一つの国に滞在するのは、たった3日間。これは、深く関わりすぎず、でも確かに“見る”という旅人の哲学。この距離感が、物語に独特の余韻を与えています。第1巻に収録された「人を殺すことができる国」「撃ちまくれる国」「過去のある国」「優しい国」――どれも一見すると極端で不条理。でもその中に、人間の本質や社会の矛盾が浮かび上がります。特に「優しい国」のラストは、静かで切なく、キノの無言の優しさが胸に残りますキノの相棒であるエルメスは、ただの乗り物ではなく、彼女の“もう一つの声”のような存在。皮肉や軽口を交えながら、読者の視点を代弁してくれる役割も果たしています。タイトルにある「Beautiful World」は、決して理想郷ではありません。むしろ、矛盾や痛みを抱えた世界を“美しい”と呼ぶことで、読者に問いかけてくるのです。それは、創作においても重要な視点――「完璧ではないからこそ、美しい」。この巻は、旅の始まりであり、問いの始まりでもあります。










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