認知症になった叔母・弥生の介護と、ゴミ屋敷となった家の片づけから、
かつての穏やかな暮らしでは見えなかった“家族の秘密”が少しずつ浮かび上がってくる過程が、とてもスリリングです。 
「介護は誰が担うのか」「女だから当然、という空気の残酷さ」など、現代的なテーマを扱いながらも、
登場人物の選択に単純な善悪をつけられないところに、湊かなえさんらしい余韻がありました。
読み終えたあと、自分の家族の老いと、そこにある感情の複雑さについて静かに考えたくなる作品でした。
『C線上のアリア』は、認知症になった叔母の家を片付けることから始まる介護ミステリ。
ゴミ屋敷と化した家に隠されていたのは、家族にさえ言えなかった叔母の秘密でした。物語が進むにつれ、主人公と叔母が抱えてきた「女性の生きづらさ」や「葛藤」が明らかになり、胸が締め付けられるようでした。それでも、自分自身と向き合い、前向きに生きる姿に救われた気がします。
自分が今後、親や義母の介護をすることになったらどう感じるのかを考えさせられました。
特に印象的だったのは、「介護とはただの世話ではなく、人の人生や記憶を紐解く行為でもある」という視点。登場人物たちの感情や葛藤、そして赦しや再生への希求が丁寧に描かれており、人間の弱さと、それでも生きようとする強さに心を動かされました。 
















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