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「木かげの家の小人たち」は、静けさの中に責任と愛が息づくファンタジー。ゆりが毎朝ミルクを届ける小人たちとの日々は、戦時中の不安定な時代を背景に、人と見えない存在との優しい交流を映し出す。吉井忠の絵は繊細で、屋敷の闇と小人たちの小さな灯りが対比されて心を打つ。ゆりが病に倒れる場面は切ないが、最後に残る“続けてきたことの重さと温もかさ”が胸に残る。見えない絆を信じさせてくれる一冊です。
ある家の二階に小さな書庫がありました。薄暗い廊下に面したその部屋は、その家の他のどの部屋よりも、物静かな一角でした。古めかしい漢文の本、外国の本が並ぶ小部屋。そしてこの静かな部屋の天井近くに、小人が住んでいたのです……。暗い戦争の影が日本をおおう冬の時代、外国生まれの小人を愛し続ける少女ゆり。いまわしい現実と不安な日々が不思議な魅力を持って描かれる、日本のファンタジーの記念碑的作品です。
「木かげの家の小人たち」は、静けさの中に責任と愛が息づくファンタジー。ゆりが毎朝ミルクを届ける小人たちとの日々は、戦時中の不安定な時代を背景に、人と見えない存在との優しい交流を映し出す。吉井忠の絵は繊細で、屋敷の闇と小人たちの小さな灯りが対比されて心を打つ。ゆりが病に倒れる場面は切ないが、最後に残る“続けてきたことの重さと温もかさ”が胸に残る。見えない絆を信じさせてくれる一冊です。