ありがとう
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この作品の主人公は、椿。
三十一歳独身だが、出奔した妹の子どもである朔と一緒に暮らすことになります。
勉強も運動も苦手かつ、内にひきこもりがちな朔との生活は、
椿を追いつめることもあり、自分が正しいかわからない、自分の意思を押しつけたくもないと葛藤を抱えています。
子供を育てる経験はないのですが、育てるという行為は
自分の子供であっても難しいものであるのに、
ほかの誰かが産んだ子供を養育しているだけで
尊敬に値するなと思いながら、読みました。
子育てに普通や当たり前はないのですが、
知らず知らずのうちに他者の子育てをしている様子や
価値観に対して「普通は〇〇」といった見方をしていないか
自分を見つめなおす一冊になりました。