ありがとう
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隣室に住む老婆・八重さんの部屋を片付けることになった阿紗。
口が悪く、図々しい八重さんに辟易しながらも、阿紗は断りきれずに片付けを手伝い始めます。
足の踏み場もない部屋を片づける作業は、そのまま阿紗が封印していた自身の子供時代を思い出す過程でもありました。八重さんの過去に触れていくうちに、二人の間には、年齢を超えた不思議な信頼関係が芽生え始めます。
八重さんはズケズケと言いたい放題ですが、阿紗が一番触れられたくない核心の部分には、決して土足で踏み込んできません。「きみはきみのままでいいんだよ」と子供たちに伝える八重さんの言葉には、不器用ながらも深い優しさが宿っています。
そんな彼女と阿紗の付かず離れずの関係が、とても素敵で心に残りました。
また、佐々木との関係も、決してドラマのようにトントン拍子にはいかないところがリアル。人生、何でもうまくいくわけじゃないからこそ、共感できる部分が多かったです。
目に見える「物」だけでなく、心の中に溜まった澱をどう処分していくか。
読み終えたあと、自分の部屋も心も、少しだけ風通しが良くなったような気がする一冊でした。











