ホラーというより“日常の隣人の裏側”というゾッとする恐怖に、ページをめくる手が止まりませんでした。最初は普通の近所付き合い、でもその隣人の魅力的な笑顔の裏に、理性では到底理解できない闇が潜んでいるのだと思うと、本当に怖さが胸に刺さります。 
特に後半の展開は予想を裏切るどんでん返しがあって、「隣に住む人は本当に“人”なのか?」というゾワッとした感覚が、読み終わった後もしばらく残りました。 
天才的な悪とされる男が父親になりすまして一家をのっとる話。
クリミナルマインドや現実でもこういう事件あったな……とデジャビュ。話は面白く、終盤のどんでん返しは読めなくて驚かされたのだが、真犯人と直接対決の爽快感や、派手なアクションを期待すると拍子抜け。
主人公は犯罪心理学を研究する四十代既婚者(登場時)の大学教授なのだが、「ただの子供虐待」や女学生との個人的な付き合いなど、どうかと思う言動がちらほらあってモヤる。その後に少女を助けようと奔走してるので中和されるし、総体的に人格者なのは間違いないのだが……
個人的に不満な点を挙げれば、犯人がどうやってなりかわったかは詳細に書かれているが、何故なりかわったのかの動機がおざなりな点。特殊性癖の一言で片付けられるんだろうが、結局なにがしたかったの?少女を手に入れたかったの?だったらそんな面倒でリスクが高いことしなくても他にいくらでも手があるんじゃ……??と疑問。
しかも最初はターゲットの合宿日を調べてなかったせいで失敗、目的を遂げられずじまいで、悪の天才にしちゃ随分と詰めが甘い。
ラストもあっけなかったので、周囲がそこまで言うほど天才に思えなくなってしまった。
どちらかというと終盤に明らかになる共犯の秘めたる情念が怖い。



















