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誰かのために祈る男の子達の物語です。願をかけた者の体の一部を取っていくというサイガサマ。しかし、取られたくないものを冬至の祭で申告できるという、なんとも風変わりな神様です。
特に心に残っているのは、「シゲルはセキヅカのことを考えた。(中略)どんな具合で、どうやって、誰とはわからないけれども、幸せになるといいと思った。そして、それが自分だとすごくうれしい、と心の中で付け加えた。」という一文です。
シゲルの健気で純粋な思いが凝縮されていて、胸が締め付けられました。
また、願いを叶えてもらった人々が、取られたものに心を痛めるのではなく、むしろ次の冬至の祭に熱心になる姿が印象的でした。それは、サイガサマが単に奪うだけでなく、それ以上のものを与えてくれる、優しい神様なのだと感じさせてくれます。
一編目だけでなく、二編目の物語もとても良かったです。誰かの幸せを願うひたむきな姿に、心が温かくなりました。