『存在論のフロンティア 自然・技術・形而上学』は、存在論の最先端を自然や技術の視点から考察した哲学書です。自然界や科学技術の進展が、存在や実在の理解にどのような影響を与えるかが具体的に論じられています。特に「形而上学的問いは現代科学や技術の進歩と無関係ではなく、相互に影響し合う」という考えが印象的で、哲学と現実世界を結びつけて考える視野を広げる示唆に富んだ内容でした。
執筆者=セバスチャン・ブロイ、井頭昌彦、田中祐理子、マルクス・ガブリエル(ボン大学教授 現代哲学・認識論)、ヒュン・カン・キム(デュッセルドルフ応用科学大学教授 デザイン哲学・美学)、景山洋平(関西学院大学教授 現象学・解釈学)、セルジオ・ジェノヴェージ(SKAD AG・AIガヴァナンス・シニアコンサルタント 技術倫理)、アレックス・エングランダー(ボン大学助手 行為の哲学・ドイツ観念論)、ダヴィド・エスピネー(ストラスブール大学教授 現代ドイツ哲学)、アダム・タカハシ(関西学院大学准教授 中世自然哲学史)、ヤン・フォースホルツ(ボン大学講師 科学哲学・認識論)、板東洋介(東京大学准教授 日本倫理思想史)
マルクス・ガブリエルと日独の哲学者が共催した国際会議(ボン大学)をもとに編纂した哲学アンソロジー。多様なグループが大陸学派と分析学派の分離を超え、技術の哲学と倫理、科学の哲学、そして形而上学に関する最新の議論について寄稿。本論集は日本とドイツにおける現代思想の最前線を紹介すると同時に、加速しつつある科学技術の発展が人間に突きつける技術哲学、倫理学、認識論の根本的な問題を多角的に論じる試みである。キーワードとしては、ハイデガーやシモンドンの技術存在論、思弁的実在論の再検討、ソーシャルメディアと人間の主体性、宇宙開発における生と死の倫理学、アリストテレスから西田に至るまでの自然概念、「原子」の科学認識論、人工知能の哲学的基礎、科学哲学における自然主義などが議論される。
序論(セバスチャン・ブロイ)
1 技術と存在論
・デジタル化革命(マルクス・ガブリエル[藤井克明訳])
・自然と技術の二元論の彼岸(ヒュン・カン・キム[岡田悠汰訳])
・形而上学的実在論タイプの物理主義に抗して(井頭昌彦)
・哲学者は電脳の夢をみるか?
--ハイデガーの技術存在論とサイバネティックスの「開蔵」(セバスチャン・ブロイ[中村徳仁訳])
2 技術と生命の倫理学
・事実性における人間の位置と真正さ(景山 洋平)
・新たなナルシシズムとソーシャルメディアの倫理(セルジオ・ジェノヴェージ[岡田悠汰訳])
・サルトルの哲学における本性についての信念と信念の本性(アレックス・エングランダー[北川 藍訳])
・芸術の免れる力(ダヴィド・エスピネー[下山 千遥訳])
3 自然の概念と「私たち自身」の歴史的存在論
・誰が(かつて/どうやって)原子を見たか
--二十世紀物理学史と認識の複層化(田中祐理子)
・ただ在る世界の存在を知るーーアレクサンドル・コイレ再考(アダム・タカハシ)
・形式的な存在論ゲームーーメイヤスーの思弁的実在論に相関は必要か?(ヤン・フォースホルツ[山名諒訳])
・「東洋的無」は実在するか?(板東洋介)
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