「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の原作者・暁佳奈先生の最新作です。
上下に分かれているライトノベルなのですが、かなり内容に重厚感があります。
物語の舞台は「大和」という国。
この大和には、季節の祖である冬が春が生みだした後、
冬と春の蜜月に悲鳴を上げた大地の願いで夏と秋が作り出された、という伝説があります。
大和の土地に季節を巡らせる者たちこそ、現人神「代行者」です。
そして、主人公の花葉雛菊は“春”の代行者。
代行者には護衛官が付いていて、
雛菊の護衛官は、姫鷹さくらという可愛くて強い少女です。
四季の代行者とその護衛官たちは、それぞれ個性豊かで季節それぞれの特徴を持っています。
代行者たちは「神様」と呼ばれており、そのせいかプレッシャーも大きいです。
それぞれに何かしら内に秘めた思いや葛藤があって、実に人間らしいところも持っているのが魅力的でした。
特に、冬組と春組の代行者と護衛官は、友情や親愛以上の関係のようにも感じます。
面白いですが精神的にくる内容になっていたり、
キャラクター同士の関係性も特殊なため、もしかすると読む人を選ぶ作品かもしれません。
ですが、目を閉じれば四季折々の麗しい光景が思い浮かぶような、美しい言葉で綴られた物語です。
愛しくも残酷な“春”を巡る物語を一緒に垣間見てみませんか?