『絶望の林業』田中淳夫著は、日本の林業現場が抱える構造的な課題や困難をリアルに描き出した一冊です。著者は、過疎化や高齢化、経済的な制約など、林業従事者が直面する現実を具体的な事例とともに紹介し、業界の厳しさと将来への不安を浮き彫りにしています。読後は、林業の現状を深く理解するとともに、持続可能な森林管理や地域社会の支援の重要性を考えさせられ、絶望的な状況の中でも解決策や希望を模索する視点を得られる内容でした。
「日本の林業は成長産業である」。
最近よく耳にする言葉です。その証左はどこにあるのでしょうか。そしていま、日本の林業現場で何が行われているのでしょうか?
補助金漬け、死傷者続出、低賃金、相次ぐ盗伐、非科学的な施策……。林業の現場には時代遅れで、悲惨な現状が隠されています。
若者の就労者が増えたことで、成長産業と期待されている日本林業。しかし、その実態は官製成長産業であり、補助金なくしては成り立たない日本の衰退産業の縮図といえます。
30年にわたり森林ジャーナリストとして日本の森、林業にかかわってきた田中淳夫だからこそ書けた、林業業界の不都合な真実に鋭く切り込んだ問題作。
はじめに─ 騙されるメディアと熱い思い
第1部 絶望の林業
1:「林業の成長産業化」は机上の空論
2:木あまり時代が生んだ木づかい運動
3:外材に責任押しつける逃げ口上
4:森も林業も知らない林業家
5:正反対の意味で使われる「間伐」
6:木材価格は高いという神話
第2部 失望の林業
1.諦観の林業現場
1:手を出せない林地がいっぱい
2:徒労の再造林と獣害対策
3:森を傷つける怪しげな「間伐」
4:機械化こそ高コストの元凶
5:騙し合いの木材取引現場
6:事故率が15倍の労働環境
2.残念な林業家たち
1:改革したくない森林組合
2:倫理なき素材生産業者
3:素人が手がける自伐型林業
4:林業をやめたい山主の本音
5:ロスだらけの木材の在庫管理
6:木悪説にハマった建築家たち
7:見失っている木育の対象
3.滑稽な木材商品群
1:“見えない木”合板受容の功罪
2:木を見せない木造建築の罠
3:普及するのか国産材CLT
4:セルロースナノファイバーの憂鬱
5:再生可能なバイオマス発電
6:ハードウッドと大径木の危機
7:国産材を世界一安く輸出する愚
4.痛恨の林業政策
1:モラルハザードを起こす補助金行政
2:無意味な「伐期」にこだわる理由
3:地球環境という神風の扱い方
4:違法木材野放しのクリーンウッド法
5:視界不良の林業教育機関
6:実態無視の視察と欺瞞だらけの白書
7:森の未来を見ない林政担当者
第3部 希望の林業
1:夢の「理想の林業」を描く
2:吉野林業の幸福な時代
3:森を絶やさず林業を行う恒続林
4:投資ポートフォリオとしての林業
5:篤林家たちの森と林業
6:絶望の中に希望は見つかるか
あとがき
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