死に向き合う葬儀会社とその周りで揺れ動く生と死の物語です。葬儀を執り行う側や遺族側、多くの想いが交錯する中で、考えさせられるシーンがたくさんありました。また仕事に対する価値観や男女での夫婦の在り方の違いも興味深いです。
「死」に対するイメージは人それぞれだけど、決して避けることはできないもの。
そんなヘビーなテーマの「死」とちゃんと向き合う機会をくれる一冊です。
葬儀や大事な人の死にまつわる登場人物たちの心の中の葛藤が本当に苦しくも切なくもあり、一緒に苦しみながら読んでしまいます。
心に刺さる言葉を探しながら読むのがおすすめです。
家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」を舞台にした連作短編集です。
読みながら、自分の価値観を押し付けずに人と向き合うことの難しさを痛いほど感じました。親しい関係であればあるほど、自分の「正解」を押し付けられると深く傷つくのに、自分もまた無意識に相手に求めてしまう。そのもどかしさが丁寧に描かれています。
誰もが自分の気持ちを完璧に言語化できるわけではありません。うまく言葉にできず、真意が伝わらないまま、すれ違ってしまう。そんなもどかしい経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
何でもないふりをして感情を飲み込むことも、自分を曲げずに押し通すことも、どちらが正しいとは言い切れません。考えれば考えるほど、生きることの「正解のなさ」や「生きづらさ」が浮き彫りになっていきます。
物語の結末は、決して全てが丸く収まるような「綺麗ごと」ではありません。でも、だからこそリアルで、私はとても好きでした。静かに自分自身と対話したくなるような一冊です。



















