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古びた団地に暮らす、50歳の幼なじみ奈津子とノエチ。
かつて団地の中にあった保育園から小中学校まで、ずっと共に過ごしてきた二人。一度は団地の外へ出た時期もありましたが、戻ってきた今もその仲は変わりません。
ノエチが奈津子の家に入り浸り、一緒に夕飯を食べてテレビを観る。そんな何気ない毎日が、とても愛おしく描かれています。
二人の関係で特に素敵だなと思ったのは、喧嘩をした時の距離感です。数日会わずに過ごして、なんとなくいつの間にか仲直りしている。原因を追求しすぎず、あえて言葉にして謝ることもない。長年築き上げてきた「幼なじみ」だからこその阿吽の呼吸に、深い信頼を感じました。
近所のおばちゃんたちとの温かな交流もあり、のんびりと過ぎていく二人暮らし。
大きな事件が起こるわけではありません。けれど、この平穏で「何でもない」日常生活の繰り返しこそが、何よりも贅沢で素敵なことなのだと教わった気がします。読んでいるこちらまで、心がほっと解きほぐされるような一冊でした。











