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この巻は、まさに“最強が敵になる”という衝撃の展開で幕を開ける、シリーズ屈指の転換点でした。クラウスが《灯》から離反し、《蛇》の新たなボスとして立ちはだかる構図は、読者の心をざわつかせずにはいられません。これまで「教え下手なポンコツ最強スパイ」として親しみを持たれていたクラウスが、ついに“敵”として立ちはだかる。しかも、ただの裏切りではなく、《暁闇計画》という世界の命運を左右する選択において、彼だけが「阻止」を選んだという事実が重い。少女たちを“成就”へと誘導しながら、自らは“阻止”を選ぶという矛盾した行動には、深い思惑が感じられます。クラウスは、フェロニカがかつて彼に託したように、《灯》の少女たちに未来を委ねたのかもしれません。自分では下せない決断を、育てた教え子たちに託す――それはまさに「スパイ教室」というタイトルの回収であり、師弟の物語として胸を打ちます13巻では《焔》の崩壊の真実も明かされ、フェロニカやギードの過去が物語の核心に繋がっていきます。スパイという冷徹な職業の中で育まれた“家族愛”が、クラウスの生存、そして《灯》の誕生へと連鎖していく展開は、涙腺を刺激するほどの人間味に満ちていました《灯》と《蛇》の対立構図が明確になったことで、物語はついに最終章へ。クラウスという“魔王”を前に、少女たちは何を選び、どう戦うのか。読者は、彼らの選択に震えるしかありません。この巻は、クラウスというキャラクターの“完成形”とも言える一冊でした。
