岩山が崩れたことで出口を塞がれてしまったヨナは、外で待つハクの元に戻るため、酸欠になりそうになりながら必死に岩を掘ります。
焦燥に駆られたハクが、「連れていかないでくれ」と亡き王に頼みながら、外側からも掘ったことで、ヨナたちは抜け出すことができました。
青龍の優しさを分かろうとせず、恐れるだけの里人たちに、ヨナの顔には悔しさが滲みます。
力を借りたいだけではなく、力を貸したい、と思うことができるヨナの優しさに顔が綻びました。
小さな幸せをある日突然奪われたヨナにとって、生きることが無意味なことだとは言わせない、という強い気持ちがあります。
ハクだけはイル国王の娘であることを忘れず、自分を「姫」と呼んで欲しい、と告げるヨナ。
そこには、哀しみと追憶のようなものを感じます。
ハクから見たイル王は、武器も争いもなく誰も傷つかない、そんな夢物語を理想と掲げて揺るがなかった王でした。
だからこそ愚かだったとは思えず、主を守れなかったことは生涯悔やむだろうと口にします。
『武器に触れてはならない』
ヨナが父の教えに反して武器を持つことを選んだのは、もう誰も失いたくないという切実なる願いがあるからこそ。
仲間になった青龍シンアを連れた一行は地の部族の港町に向かい、緑龍を探します。
美学にこだわる緑龍ジェハは、生まれた時から決まっている宿命により自由を奪われることを厭い、たとえ緋龍王であっても蹴り飛ばしてみせると逃げ回ります。
緑龍が仲間になってくれるのか……次巻も見逃せません!