一言で乱暴にまとめると解剖医版バチスタ。
光崎教授の傍若無人なキャラクター造形は白鳥やバチスタの権威たちを思い出す。
傲岸だが生者と死者を分け隔てるのを是とせず、真実を重んじる光崎と死体が大好きな外国人助手のキャシー。そんな二人に圧倒されながら法医学の意義に目覚めていく麻琴……
キャラクターもそれぞれ魅力があるし、エンタメとしては及第点の面白さだが、登場人物の言動の矛盾や警察の対応など、素人から見ても「いくらなんでもこれはないでしょ」という展開が散見され、完全にのめりこむまでにはいかなかった。
死体の所見を重視したいから他の事はいいと一話で言った光崎が、三話では捜査資料を頼んでいたり……最大の違和感は四話。キャシーがスマホから送信した写真(それも無断で)だけで、僅か数時間後に逮捕令状がとれるのはあり得ない。
死者の声を重んじて、真実を追求する光崎の考えもわかるが、やり方が強引すぎる上に遺族をだまして解剖する話が多いので、現実で実際にやったら大問題だよな……エンタメだからこそ成立する話である。
結果良ければすべて良しでおさまるのだがうーん……。
被害者や加害者の遺族も何人か登場するのだが、さわりの描写でさらっと流され、その後どうなったかフォローが省かれてるのがやや消化不良。
二話の小学生と両親、三話の競艇選手の妻と子など、せっかく出したのなら解剖を経た後のリアクションが知りたかった。三話の遺族は特にトラウマが深そうだったので……。
独立した別々の話だと思わせた短編が、最後に収束する構成は面白かった。
他の誰かも言ってたが、連続ドラマ向きの素材。


















