今回の作品は、草祭や夜市のような雰囲気ではないものの不思議な街(町)という点では共通しています。そして、いつの間にか迷い込んでしまったという点も同じ。
違う点は、これまでのものは静かで少しホラー感みたいなものが漂っていましたが、この作品には明るさとワクワクドキドキといった高揚感を感じられる雰囲気です。
主人公の夕月は突然知らない場所にいて、何でも10個の願いを聞き入れてくれるスタープレイヤーを手に入れます。このスタープレイヤーを使ってどんな願いをするのかがこの話の面白い所です。
もし、自分ならと想像するのもよし、この場所でどんな風に暮らすかを想像するのもよし。妄想は膨らみます。人間があまり好きではない私にとっては、多くの人がいない世界はストレス解消にもなりそうです。
そして、この作られた国は最後に「麗和(れいわ)」と名付けられますが、この本の初版は2014年。今の年号令和が決まっていないときです。なんと不思議な。さすが、恒川光太郎!と思わずにいられませんでした。