ありがとう
0
この本は女性川柳家の足跡を辿った貴重な文学史書として、非常に価値のある内容でした。黒川孤遊氏の丁寧な調査と研究により、これまで見過ごされがちだった女性川柳家たちの作品と生涯が詳細に紹介されており、川柳文学の新たな側面を発見できます。特に各時代の女性たちが川柳を通して表現した心情や社会への視点が印象的で、短詩形文学における女性の感性の豊かさを実感しました。川柳という庶民的な文学形式だからこそ表現できた、女性たちの率直な思いや生活の実感が作品から伝わってきます。単なる作品紹介にとどまらず、それぞれの作家の時代背景や社会的位置づけも丁寧に解説されており、文学史的な価値も高いです。川柳文学の奥深さと、女性文学史の重要な一面を同時に学べる、研究価値の高い労作だと思います。