制作者本人によるノベライズ。
他の方も仰ってる通り文章が上手でびっくり。
平易な言葉遣いですが、孤独な少女が狂気に追い込まれていくダークな心理描写にセンスを感じます。「信号」という単語の多用と、時代背景を考えても信号ないよね?というのがひっかかりましたが揚げ足とりでしょうか……
街灯の存在が市民の一般知識として普及してる生活レベルなのに、狩猟は弓矢で行ってたの?など、本筋とは関係ない疑問点もありますが。
エレンの生い立ちから悪魔との出会い、魔女の家に棲まうに至る経緯まで、原作では端折られていた説明不足の部分が、日記の体裁を借りたエレンの一人称視点で丁寧に書き綴られています。
原作では無口無個性だったヴィオラの性格がわかる前日譚が盛り込まれてるのも好評価。本当に友達思いで心の優しい女の子ですね……エレンはその欺瞞と偽善を鋭く突いて責め立てますが、彼女の辿る運命を知ってると胸が痛みます。
ただ一つ気になったのは、そこまでどぎつくはないですが、娘→父への近親相姦的な描写が随所にちりばめられていた点。
私はさほど抵抗なく読めましたが、原作の魔女の家を純粋であるが故に歪んでしまった、イノセントな愛情に飢えた少女が主役の暗黒メルヘンとしてプレイした方の中には、残酷な子供と淫らで狡賢い女が同居するエレンのいやらしさに難色を示す向きもあるかな?と些か想像を逞しくしてしまいました。
結末に一抹の救いがあるかと期待しましたがそんなものはなく、後味は悪いです。
ですがフリーゲーム「魔女の家」を愉しめた方には自信をもってお勧めします。
欲を言えばあっさりでもいいので後日談が知りたかったです。
ヴィオラ父は娘の真実に気付くのか、気付かず罠に落ちてしまうのか……














