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出版社に勤める浜野文乃45歳。毎日ひたすら同じことを繰り返し、心を動かさない安定した生活を送っています。「私には何もない、あるのは加齢による変化だけ」という浜野に、思いっきり共感してしまいました。
そんな浜野が、ホストクラブ通いのパリピ編集者・平木直理と出会ったことで、新しい風が吹き始めます。平木に連れられて行った変形モッシュバンド・チキンシンクのライブに衝撃を受け、ボーカルのまさかと、付き合っていないけれど付き合っているという特殊な関係になります。
平木もまさかも、ありのままの浜野を否定せずに受け入れており、何かを押し付けることもありません。自分の価値観が確立している中年だからこそ、彼らの存在はありがたいものだったのでしょう。
停滞していた人生を動かし始める45歳の女性の姿が、強く印象に残る作品でした。