現代ベラルーシを知る本4選
美しい自然と苦悩する人々の物語が描かれた1冊目は、権力との闘いの中での人々の生きざまを深く描いています。次に、戦後の苦しみと再生を描いた作品。それは症状的に描かれたベラルーシの裏側を垣間見ることができます。さらには、現代社会の風切っていると断言できるような現代的な感覚を刻んだ1冊。最後に、記憶と過去が重ね合わさった1冊は、過去と現在が交錯する様はまさに現代ベラルーシそのもの。それぞれ異なる角度から現代ベラルーシをえぐりだし、紡がれる人々の物語はその土地の魂を映す鏡となることでしょう。
『理不尽ゲーム』
欧州最後の独裁国家ベラルーシ。その内実を、小説の力で暴く。
群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスク。老いた祖母だけがその回復を信じ、病室で永遠のような時を過ごす一方、隣の大国に依存していた国家は、民が慕ったはずの大統領の手によって、少しずつ病んでいく。
10年後の2009年、奇跡的に目覚めたツィスクが見たものは、ひとりの大統領にすべてを掌握された祖国、そして理不尽な状況に疑問をもつことも許されぬ人々の姿だった。
時間制限付きのWi-Fi。嘘を吐く国営放送。生活の困窮による、女性の愛人ビジネス。荒唐無稽な大統領令と「理不尽ゲーム」。ジャーナリストの不審死。5年ごとの大統領選では、現職が異常な高得票率で再選される……。
緊迫の続く、現在のベラルーシの姿へとつながる物語。
“この小説が文学賞を受賞したとき、たくさんの賞賛とともに、批判の声もあがりました。
「そんなはずはない」というものでした" --作者
【著者プロフィール】
サーシャ・フィリペンコ
1984年、ベラルーシのミンスク生まれ。サンクトペテルブルグ大学で文学を学ぶ。テレビ局でジャーナリストや脚本家として活動し、2014年に『理不尽ゲーム』で長編デビュー。本書は複数の文学賞にノミネートされ、「ルースカヤ・プレミヤ」(ロシア国外に在住するロシア語作家に与えられる賞)を受賞した。
現在も執筆を続けており、ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチからも高く評価されている。
【訳者プロフィール】
奈倉有里 (なぐら・ゆり)
1982年東京生まれ。東京大学大学院卒。博士(文学)。訳書にミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(以上新潮クレスト・ブックス)、ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(岩波書店)、『ポケットマスターピース10 ドストエフスキー』(分担訳、集英社文庫ヘリテージシリーズ)、『ナボコフ・コレクション マーシェンカ/キング、クイーン、ジャック』(分担訳、新潮社)など多数。
| 作者 | サーシャ・フィリペンコ/奈倉 有里 |
|---|---|
| 価格 | 2310円 + 税 |
| 発売元 | 集英社 |
| 発売日 | 2021年03月26日 |
『女たちのベラルーシ 革命、勇気、自由の希求』
「欧州最後の独裁国家」ベラルーシ。コロナ禍におこなわれた2020年の大統領選で打倒ルカシェンコをかかげ、理不尽な弾圧のなかで反体制派を率い闘った3人の女たち。謎多き国家の知られざる実態を暴く、ドイツ人ジャーナリスト渾身のルポルタージュ。
はしがきーー本書の短い取扱説明
1 亡命生活
2 嵐の前
3 恥知らずな偽選挙
4 「私自身の革命でした」--スヴェトラーナ・チハノフスカヤ
5 女たちの力
6 「もし私たち女がやらなければ、いったい誰がやるの」--ヴェロニカ・ツェプカロ
7 体制が牙をむく
8 「自由には、戦い取る価値がある」--マリア・コレスニコヴァ
9 未来を語る言葉
10 ヨーロッパの空白地帯
11 すでに敗北したのか、勝利はかなたに去ったのか
参考文献
解説 越野剛
訳者あとがきーー「お目目を開けて」
| 作者 | アリス・ボータ/岩井 智子/岩井 方男/越野 剛 |
|---|---|
| 価格 | 2420円 + 税 |
| 発売元 | 春秋社 |
| 発売日 | 2023年12月05日 |
『独裁国家に行ってきた』
| 作者 | MASAKI |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 彩図社 |
| 発売日 | 2019年07月26日 |
『ベラルーシを知るための50章』
| 作者 | 服部倫卓/越野剛 |
|---|---|
| 価格 | 2200円 + 税 |
| 発売元 | 明石書店 |
| 発売日 | 2017年09月 |
今回紹介した4つの作品は、一部を除き日本であまり馴染みのない「ベラルーシ」という国を描いたものばかり。ベラルーシと聞いて「何だか聞いたことはあるけど、詳しくは知らないな…」という方も多いのではないでしょうか。しかし、それがあたしのこの記事をお読みいただくきっかけとなったのなら、嬉しい限りです。
ひとつひとつの作品はそれぞれ、ごく普通の人々の生活から社会問題、そして歴史まで、様々な角度からベラルーシを描いています。それぞれの作品の中には、笑いあり涙ありのヒューマンドラマが巻き起こり、読む者の心を揺さぶります。また、ベラルーシの風景や文化、歴史背景も現代のそれとともに描かれているので、実際にベラルーシを訪れた気分になれたり、これまで知らなかった新たな発見があったりと、読むだけでベラルーシへの理解が深まるものばかりです。
ただし、どの作品も非常なリアリティがありますので、決してフィクションに過ぎないと思わずに、物語の奥深さを感じつつ一冊ずつ、ゆっくりと楽しんでいただきたいです。そして、それぞれの作品が描いているベラルーシの色々な側面を通して、その国や人々、文化に対する理解と視野が広がることを期待しています。
それぞれ違った視点で描かれているベラルーシ。あなたが目を通すことで、その多面性や複雑さを理解し、そこから何かを感じ取ることができれば、これほど嬉しいことはありません。どれも独特な世界観を持っているので、読んだ後の余韻を楽しむのもいいですね。明日のお話のネタにもピッタリですよ。
それでは、素敵な読書ライフをお楽しみください。
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