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ブクスタ！

物語は、孤島に招かれた10人の男女が、過去に犯した罪を暴かれ、次々と殺されていくという衝撃的な展開で進む。彼らはそれぞれ、法では裁かれなかった罪を抱えており、謎の“正義”によって命を奪われていく。読者は、誰が犯人なのか、なぜこのような裁きが行われるのかを追いながら、同時に「正義とは何か」という問いに向き合うことになる。

読んでいて、私は「人は本当に自分の罪を認識しているのか」と疑問を抱いた。登場人物たちは、自分の行為を正当化しようとするが、物語の中ではそれが通用しない。誰もが“自分は悪くない”と思っているが、第三者の視点から見れば、確かに罪がある。そのズレが、人間の心理の複雑さを浮き彫りにしている。

また、孤島という閉ざされた空間が、恐怖と疑心暗鬼を増幅させる。誰も信じられない状況の中で、人はどこまで冷静でいられるのか。人間の本性が試される場面に、私は背筋が寒くなる思いがした。

タイトルの「そして誰もいなくなった」は、童謡の歌詞に沿って進む殺人の予告でもあり、物語の結末を暗示している。だが、実際に“誰もいなくなった”とき、残るのは「真実」ではなく「空虚」だった。犯人の動機を知ったとき、私は「正義とは、こんなにも冷酷になり得るのか」と衝撃を受けた。