ありがとう
0
読み応え十分の本格派ハードボイルド小説だ!探偵が主人公で、行方不明のルポライターを捜すことがストーリーの軸となる。正体不明の男性、資産家、ルポライターの妻、さまざまな依頼者が登場して、始まりから困惑させてくれる。じっくりと読んだ。遠回りをしているように感じるが、少しずつ少しずつ、ストーリーは確かに進んでいく。それは、エンディングを楽しんでくれよと言わんばかりに、いろいろな仕掛けが散りばめられている。主人公の私立探偵・沢崎のセリフ回しや醸し出す雰囲気がアメリカン・ハードボイルドを思わせてくれる。両切りのタバコ、古びた愛車ブルーバード、事務所は西新宿、細かな描写に特徴が反映されている。エンディングは、東京都知事狙撃事件が大きく関わってくることになる。二重三重に絡み合ったストーリーが見事に完結する。ハードボイルドの余韻を感じて読み終えることができた。この私立探偵・沢崎の作品は、シリーズとなっているので続編も必ず読んでみたい。