古代エジプト神話に登場する1柱であるセトを主人公とした作品です。
「ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~」でも注目されている尾羊英先生の作品はいつ見ても絵が美麗ですよ!
粗暴で気分屋、気に食わない事があるとすぐに奴隷を殺してしまう軍神セトは、ある日兄であるオシリスを殺した犯人として処刑されてしまいます。
過去の非道から誰からも信じてもらえなかったセトでしたが、次に目が覚めるとオシリスがまだ王として即位して間もない5年前に戻っていました。
本作の魅力は、エジプトの神々であるセトやオシリス、トート、イシス、ネフティスたちです。
読んでいて作者が持つエジプト神話の知識の深さを感じますし、沈黙の間の取り方や表情の機微がとても繊細で物語の世界にのめり込むことができます。
トートやイシスをもってしても突き止められなかったオシリス殺害の犯人の正体も気になって仕方ありません。
イシスのネフティスLOVEぶりやネフティスの騒がしさ、トートの賢さもさることながら、豊穣の神として知られるオシリスのふとした言動も楽しめます。
特にセトが絡むと、途端に冷ややかになるのが怖いです。
イシスは口数こそ少ないものの、冷静に兄弟たちのことを見ていることが分かるので今後に注目です。
オシリスと言えば神話ではホルスの父であり、冥界の主という側面も持つ神様。
次巻でどういった展開になるのかがものすごく気になること間違いなしです。
一緒にエジプト神話の世界を垣間見てみませんか?