捜査が間違った方向に行きそうになった時、ストップをかける「ラストラインを守る男」
定年まであと10年のベテラン刑事・ガンさんこと岩倉剛が主人公の警察小説。
今この時点で8作品が刊行されていて、テレビドラマ化もされている人気シリーズ。
堂場瞬一の他のシリーズと比べると特徴がない気がしていた。しかし、それはただの先入観で、読み終えて間違っていたことに気付いた。
ベテラン刑事が地道に捜査をしていく姿が丁寧に描かれていて、警察小説として引き込まれる。行く先々で事件を呼ぶ刑事という設定も良い。新人女性刑事・伊東彩香とのコンビは、教育係として捜査のイロハが描かれていてなかなか面白い。
ストーリーは、独居老人の殺人事件が発端となり、新聞記者の自殺、過去の大型事件も絡み合い、事件の謎がひとつずつ解明されていく。じわりじわりと進む展開に、いつのまにか夢中になって読んでいた。
他のシリーズから、アナザーフェイスの大友鉄、警視庁失踪課の高城賢吾が登場してニヤリとさせられた。この『ラストライン』はすでに数作品出ているので、追いつけるかわからないが、主人公の捜査と同じように地道に読んでいきたい。