ひとり旅日和シリーズの第6作目。
「ブクスタ!」の初投稿が、シリーズ物というのは、いささか区切りが悪いのだけれど、読んだものはバンバン投稿しようと決めたので、迷わずに書く。
引っ込み思案で人見知り、仕事はようやく受かった文具メーカー勤務の梶倉日和が、上司に叱られ落ち込んでいると、社長にその様子を見られ、リフレッシュのためにと一人旅を勧められる。引っ込み思案も直るとか……まさかと半信半疑の日和だが、予想以上に旅は面白く、旅先で出会った青年、蓮斗は、何と会社の先輩の知人で……。
というシリーズ第1巻から、もう今作では、日和が入社8年目になっている。
4巻分をまるまるかけて、5巻でようやく蓮斗と両思いになった日和だけれど、彼は福岡に単身赴任。遠恋真っ盛り。それでもめげることなく、旅には元気に出かけている。今作の行き先は、福島、佐賀、長崎、鳥取。
前作を読んでおられない方は、「ブクスタ」の中に、既にシリーズのまとめがあるので、検索してそちらもご覧になると良いと思う。ともあれ、この『道続く!』の感想と行こう。
先に言ってしまうと、両思いになった日和と蓮斗のラブラブを読もうと思うと、ちょっぴり肩透かしを食う。いや、最初の行き先の福島でも、蓮斗のお勧めのカフェで、愛らしいスワンシューを食べ、本物の白鳥が大きくてびっくりする日和は、とっても楽しそうだけど、色気より食い気を、爽やかに地で行っている。
今回、日和はずっと活きイカが食べたくて、行く先々で美味しいものは食べているのに、イカだけはとんとご縁が無い。ちょっとかわいそうなくらいだけど、行動的で、ちょっとくらいうまく行かないことが旅先であっても、旅のプランを上手に変えて、満喫しているのが元気で良い感じ。
これを書いているのは、8月だから、暑すぎて旅に行くなんて、とんでもない。
日和にくっついて、お部屋で冷たい麦茶をサーモスのマグに入れ、作中で旅をする方が幸せだ。
(Tシャツにリラコ。冷たい麦茶に、ベッドにはYogibo。人間がダメになる要素満載だけど、このお話を読む時は、楽しくなりたい時だから、それでいい。)
今回の行き先、全然行ったことのない場所だったので、試しにるるぶとか、ガイドブックもチラ見しながら、場所を確認したり、グルメの写真見ながら読んでみた。そうすると臨場感もたっぷりで、読み終えるのはゆっくりだけど、かなり楽しくて、ちょっと皆さんにもやって欲しい。
長崎では、グラバー邸や大浦天主堂など、自分の、礼拝用のレースのベール持ってって回りたいような場所が出てくる。高校の卒業旅行、長崎だった予定が、親友が前日にスケートリンクで骨を負ってしまって、可哀想やら残念やら。行きそびれた思い出まで、笑顔と一緒に蘇る。
ラブラブじゃないと書いたけど、それなりに日和と蓮斗の仲良しぶりがしっかり出ていて、嬉しいところ。でもねえ、ここ、大きなゴシック体で言いたいんだけど(笑)。
「なんで二人のデートシーンがないわけーー?」
「読ませろーーー(笑)」
当然あるだろうってとこで、次の目的地のお話に行くの、焦らさないで欲しいなあ。いや、会社の同僚が、彼氏ができた途端、メロメロなの見せられるようなのって、このシリーズには不似合いだからね。いきなりキスとかしなくてもいいけど、二人で楽しくどこか行くところも、こっちは読みたいわけで(笑)。
そこは次回に期待!
最後の鳥取編は、次回からの日和の社内の仕事が変わりそうな予感を、私は持った。出張のついでに、会社公認で観光する日和なのだけど、かなり頑張ってお仕事している。新たに他部署のシゴデキな先輩も出てきて、日和が異動するか、主任とか、肩書もらいそうな気がするのだ。
彼女らしく、縁の下の力持ちで頑張るのも、普段コツコツやっても、きついことの多い私達が読むと、好感が持てる。自分の仕事もいつか、報われる日がくるかなとか、誰か見てくれてなくても、気持ち良い態度でいようとか、そんな気持ちにもさせてもらった。
次はどこに行くのかな。読み終わったそばから楽しみだ。