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自分を捨てた母との再会。しかも母は若年性認知症を患っていました。
物語の軸となるのは、22年前に二人で過ごした、あの行き当たりばったりの夏の思い出です。
「自分の人生は自分のもの」という言葉は、確かにその通りかもしれません。しかし、一人の親として、6歳の娘を置いて家を出るという選択だけは、どうしても理解が追いつきませんでした。聖子なりに苦しみや事情があったのでしょうが、「他にやり方はなかったのか」という憤りを感じずにはいられません。
娘の千鶴は、周囲から見れば考えが幼い部分もあるかもしれません。ですが、22年間も音沙汰がなければ、母を恨み、自分の人生がうまくいかない理由を母のせいにしてしまうのは、当然の心理ではないでしょうか。
それでも、最後には自分自身でそのことに気づき、前を向こうとした千鶴の姿は本当に立派で、胸を打たれました。親子の断絶と再生について、深く考えさせられる一冊です。












