演劇を単なる芸術の領域にとどまらず、社会や政治との交差点に位置づけ、両者がどのように相互作用しているのかを解説しています。演劇が社会の反映であり、時には民主主義を深く考察する手段として機能する様子を描き、また演劇が持つ影響力や政治的メッセージをどのように表現してきたのかについても詳しく論じられています。この本は、演劇と社会政治に関心のある人にとって、非常に刺激的で知的な内容が詰まっており、演劇が単なるエンターテイメントにとどまらない重要な役割を果たしていることを改めて感じさせてくれます。
民主主義政治を実際に機能させている「代理」に演劇性が含まれるように、演劇と民主主義はその本質において複雑に交錯している。民主主義への無力感と絶望が高まる世界で、演劇の仮構性・虚構性を活かした政治的発想の転換を11人の演劇学者と政治学者が模索する。
[目次]
はじめに 平田 栄一朗 7
第一章 民主主義と演劇ーー表裏一体の関係 平田 栄一朗 15
第二章 政治思想から見た民主主義の演劇的特徴 平田 栄一朗 37
第三章 アートの政治化/政治のアート化ーークリストフ・シュリンゲンジーフの『チャンス二〇〇〇』を例として 北川 千香子 61
第四章 演劇の声にあらわれる政治と民主主義的倫理の葛藤ーーニードカンパニー『鹿の家』における連帯の演技を例に 針貝 真理子 84
第五章 鏡に映らない「私たち」--ハイナー・ミュラー戯曲『ヴォロコラムスク幹線路』における民主主義的主体 石見 舟 111
第六章 一〇〇%デモ( )ストレーションーー共同体における討議とポスト移民の現実を試行する場としての演劇 ヴェロニカ・ダリアン 津崎 正行 訳 130
第七章 パフォーマンスのシアトロクラシー的効果とそれを「観る」行為についてーー映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』における民主主義の自省的瞬間 三宅 舞 153
第八章 舞踊と政治ーーウィリアム・フォーサイスとケンダル・トーマスの『ヒューマン・ライツ』 ゲラルト・ジークムント 津崎 正行 訳 178
第九章 熟議民主主義における演劇的モメント 田村 哲樹 200
第一〇章 シアトロクラシーの三つの可能性ーー〈政治家=俳優〉と〈大衆=観客〉のあり方を再検討する 玉手 慎太郎 218
第一一章 代表と演劇ーー構築主義的代表論における聴衆=観客の位置付け 田畑 真一 235
第一二章 プレビシット民主主義とは何かーージェフリー・グリーンの「視覚の民主主義」を中心に 山本 圭 250
参考文献案内 264
あとがきーー謝辞に代えて 編著者一同 270
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