前職で人間関係に疲れ、親戚が営む製菓会社「吉成製菓」に転職した茉子。
転職先はブラックさを感じる環境(サービス残業、パワハラ、女性軽視etc)で
茉子は違和感を抱き、臆することなく自分の意見を伝えていきます。
主人公がズバッと伝えることを最初はよく思っていなかった職場の人たちも
受け入れられるところは受け入れ、少しずつ職場環境が変化していく物語でした。
ドラマや映画のように正義が万事解決とはならないのですが、
すぐに解決せず、少しずつしか変化していかないのがリアルで
物語に惹きつけられました。
たまたま同じ職場に居合わせた人間なだけだから
自分に合う人も合わない人もいて当然ですが、
自分にできることを続けることで
物事がいい方向に進んでいけばいいなと思いました。
職場で悩んでいる人にそっと寄り添う光のような小説でした。
『こまどりたちが歌うなら』は、歌とともに生きた人々の心の葛藤や成長を描いた作品です。登場人物たちが抱えるそれぞれの思いや、歌に込められた感情が丁寧に描かれていて、深い感動を覚えました。特に、歌が人々を繋げ、癒しをもたらす力を感じさせてくれる作品でした。
寺地はるなさんの描く主人公の女の子って、いつもどこか不器用で生きづらそう。こちらの主人公もそんな感じ。だけど物語の中でちゃんと成長して、読後感がとても良いのでほっこりできるから好きです。表紙の和菓子が可愛らしいが、リアルな人間関係って甘いだけじゃない。良い作品でした。