『アナ雪』でひとり氷の城を作ったエルサは本当に孤独だったのか？
運命の恋人、姉妹の愛、孤独から救うのは個人のつながりだけなのか？
映画、マンガ、英文学の名著、とある女王の史実までを読み解き、良い孤独のある社会、孤独を許容する社会を想像する。新時代を目指すカルチャー批評。
第一章 ロンリネスとソリチュードーーまたは、エルサの孤独
エルサの孤独と「解放」／二つ（または四つ）の孤独／女性とソリチュード／なぜエルサの幸せな孤独は認められないのか／エルサのアイソレーション
第二章 孤独はいつから避けるべきものになったのかーーひとりぼっちのロビンソン
?がりたくはないけれど……／「孤独」を表す言葉の誕生／近代化と個人化と孤独の誕生／孤独なロビンソン／神の秩序に包まれて？／「孤立的経済人」へ
第三章 「ソウルメイト」の発見ーー依存と孤独とジェイン・エア
「ソウルメイト」の誕生／『ジェイン・エア』の物語／ジェインの孤独と「友達」／友情から恋愛へ？／平等な「魂」とジェインの復讐劇／浅い依存と友情
補論 「友達100人」は孤独を癒やしてくれるのか？
第四章 死別と孤独ーーヴィクトリア女王から『葬送のフリーレン』へ
喪服の女王／ソウルメイトとの死別／共同体的な死、または記憶にとどめる方法／『葬送のフリーレン』と孤独を学ぶこと／記憶・共同体・孤独／有限感覚の希薄化と公認されない悲嘆
第五章 田舎のソリチュードから都会のロンリネスへーー森の生活と、ある探偵の孤独
ソリチュードの発見／森の生活がくれた孤独／都会のロンリネス／ひとりぼっちのホームズ
第六章 自分ひとりの部屋と向かいのおばあさんの部屋ーーヴァージニア・ウルフの場合
『自分ひとりの部屋』とソリチュードを得る条件／五百ポンドが可能にする社会的経験／都市遊歩者の自由と孤独／都会と意識の流れ／トンネル掘りと共感の限界／つながる部屋
第七章 誰でも孤独でいられる社会へーー排除型社会と孤独
ソリチュードという特権？／小山さんの二重の孤独／孤立と排除型社会／二つの「社会」の物語／勝ち組男性の孤独／男性と孤独感のセンサー／孤独許容社会へ／社会を想像する
ススメ
河野真太郎氏の「ぼっちのままで居場所を見つける 孤独許容社会へ」は、現代社会における「孤独」の捉え方を問い直す一冊です。
本書は、孤独を単に否定的なものとして捉えるのではなく、多様なあり方を受容する社会の必要性を説いています。
著者は、孤独を「孤立」「孤独」「孤高」の3つに分類し、それぞれの違いを丁寧に解説しています。
そして、他者との繋がりを求める一方で、一人でいることを望む人もいるという事実を指摘し、孤独を抱える人々が安心して過ごせる「孤独許容社会」の実現を提唱しています。
本書は、孤独に悩む人々にとって、心の拠り所となるような一冊と思います。
