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地元の人たちから「ぐるぐるめ」と呼ばれ親しまれている山中青田遊園地の、開園から閉園までの一日を描いた8編の物語です。
初々しいカップル、仲の良い女友達、長年連れ添った老夫婦、仕事に悩む営業マン、元気な家族連れ、そして、楽しそうな女子高生グループ。それぞれの人生の一コマが描かれていて、思わず引き込まれてしまいました。
物語の案内役であるピエロが時間を知らせるたびに、登場人物たちは元気や勇気をもらいます。一話ごとに挟まれているミニチュアアートの写真がとても素敵で、どこに誰がいるのか探しては、にやにやしてしまいました。優しくて温かい物語と、可愛らしいミニチュアアートの組み合わせが最高です。
「同じところに戻ってきたはずだった。だけど同じじゃないって、そんな気がした。」という一文が心に響きます。この遊園地での一日が、それぞれの人生を少しだけ変えていく、そんな希望を感じさせてくれる一冊でした。読んでも見ても楽しめる、心温まる物語です。