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芥川賞作家であった著者は、「小説を書くのはクラシックレコードを買うため」と公言し、その憧憬を「西方の音」に求めた。芥川龍之介は「西方の人」でイエス・キリストを書いた。著者もまた「音楽には神がいる」と説く。本書は音楽と向き合う者にとって、教科書や哲学書を超え聖書に至る一冊である。
無名の文学青年の満たされぬ内面を潤し、啓発してきた音楽。最高の演奏と美しい音への飽くなき追求から、オーディオの深みへと分け入ってゆく日々。作曲家と作品、演奏家と演奏、オーディオとレコードを、剣豪小説家らしく斬れ味鋭く論じる。そして、音楽に触発された自らの人生を張りつめた文体で綴る。
芥川賞作家であった著者は、「小説を書くのはクラシックレコードを買うため」と公言し、その憧憬を「西方の音」に求めた。芥川龍之介は「西方の人」でイエス・キリストを書いた。著者もまた「音楽には神がいる」と説く。本書は音楽と向き合う者にとって、教科書や哲学書を超え聖書に至る一冊である。