改めて罪とは何か、償いとは何かを思い知られされた
自分が犯した罪は命をかけて償う、たしかにそれも
大事だがこの作品の主人公のような生き方もあるのかもしれない
人を助けるために行動する御子柴
かといって今までの過去がなくなるわけではないというのもあるが…
「復讐の協奏曲」の読書感想文をご紹介します。
弁護士・御子柴礼司を主人公とする人気シリーズである本書は、過去の凄惨な事件を背景に、法と正義、そして人間の業を描いた作品です。
物語は、御子柴の事務所に届いた大量の懲戒請求書から始まります。
それは、過去の事件における御子柴の弁護士としての行動に対するものでした。同時に、御子柴の過去を知る人物からの脅迫状も届き始め、御子柴は過去と向き合わざるを得なくなります。
本書は、過去の事件と現在の脅迫という二つの軸が絡み合いながら進行します。過去の事件は、凄惨な内容でありながら、人間の心の闇を深くえぐり出すものでした。一方、現在の脅迫は、御子柴の過去と現在を繋ぎ、彼を追い詰めていきます。
物語は、単なるミステリーとしてだけでなく、法と正義、そして人間の業について深く考えさせるものでした。
御子柴の過去の行動は、法的には問題がないのかもしれません。
しかし、人間としての倫理観や正義感からすれば、許されるものではありません。
本書は、読者に対して、法とは何か、正義とは何か、そして人間とは何かを問いかけます。そして、その答えは一つではないことを教えてくれます。
読後、私は、人間の複雑さ、そして法の限界について深く考えさせられました。同時に、中山七里氏の作品の持つ、人間の心の奥底に迫る力強さに改めて感銘を受けました。