とても心に響く作品でした。タイトルにもある「52ヘルツのクジラ」は、世界でたった一匹だけ、その特別な周波数で鳴く孤独なクジラの話からインスピレーションを受けています。この物語では、人と人とのすれ違いや孤独感が繊細に描かれていて、誰かに理解されたい、でもなかなかうまく伝えられないもどかしさが伝わってきました。登場人物たちの心の傷や葛藤が丁寧に描かれていて、読んでいると自分自身の孤独や不安に重ねてしまう瞬間もありました。全体的に静かで優しい語り口なのに、どこか胸を締め付けられるような切なさがあって、読後もずっと余韻が残る作品です。日常の中にある小さな声や感情に耳を傾けたくなる、そんな一冊でした。
題名が気になって手に取りました。読み始めて数ページで想像と違って重そうな内容に少し辛いかもしれないと感じましたが、読み進めていくうちに内容に引き込まれました。
現代社会にある見えているようで見えていない様々な問題への苦しみ、音にならない声を聞いてくれた出会い、少しの未来が見えてくるあたたかい結末、それぞれの場面で色々と考えさせられました。問題が解決したわけではないですが、読了後はホッとしました。
初めて読んだ町田そのこさんの作品は、とても心地の良い文章でした。別の作品も読みたいと思っています。
暗く冷たい闇の中で、声にならない声をあげている人たちがいる。
「虐待」という、知ってはいけないようなことだけど、無視して通り過ぎることはできない事実に、胸が苦しくなりながら、だけど少しずつ状況が変わっていくことに心が温かくなりながら読みました。
ああ、わたしは恵まれてるな
ああ、声にならない声に気づいてあげれる人になりたいな
ああ、人に寄り添って道を見せてあげれるってすてきだな
あとがきを読みながら町田そのこさんの作品の深さ、この作品のすばらしさをより実感することができました。
「側にいるよ」
「ちゃんと見てるよ」
「あなたの味方だよ」
そう言ってあげれる人間ってなかなか多くないのではと思います。
気になっている人にそっと手を差し伸べられる人が、増えますようにと願います。