日本だけでなくシドニーやフランスにも舞台がうつり、それぞれの人間模様があたたかい作品です。著者の同じ月曜日の抹茶カフェも是非あわせてよんでほしいです。ささやかな誤解、報われない葛藤、生きていれば多くの方が感じる気持ちを解いてくれる作品で大好きです。
こころ穏やかに読める一冊です。
自然に描かれている人と人との繋がりがとても優しく、読むだけで良い運気が自分にも流れてくるような気がしました。短編だけど、それぞれの話が関連していて、読みながら自分で想像してしまう部分に、この話の楽しさを感じました。
物語は、カフェ「マーブル・カフェ」で働く女性店員が、毎週木曜日にココアを注文する女性客に興味を持つところから始まる。そこから、ココアを飲む女性を中心に、さまざまな人々の人生が静かにつながっていく。登場人物たちは皆、日常の中で小さな悩みや孤独を抱えているが、誰かの言葉や行動によって、少しずつ前を向いていく。
読んでいて、私は「優しさは連鎖する」ということを実感した。誰かが誰かにかけた言葉が、巡り巡って別の誰かを救う。そのつながりは、直接的ではないかもしれない。でも、確かに存在していて、静かに人を支えている。そんな“見えない絆”が、この物語の中にはたくさん詰まっていた。
特に印象的だったのは、登場人物たちが皆「特別な人」ではないことだ。ごく普通の人々が、ごく普通の日々の中で、少しだけ勇気を出したり、誰かに優しくしたりする。その積み重ねが、誰かの人生を変える力になる。私はそのことに、深い感動を覚えた。
タイトルの「木曜日にはココアを」は、習慣であり、象徴でもある。忙しい日々の中で、自分を取り戻す時間。誰かとつながるきっかけ。そんな“ひととき”が、私たちにも必要なのだと思った。
『木曜日にはココアを』は、日常の中にある小さな奇跡を描いた物語だ。読後、私は「自分も誰かの“木曜日”になれるかもしれない」と思った。優しさを忘れずに、日々を丁寧に生きていきたい。
最初のエピソードのサブキャラクターが次のエピソードのメインキャラクターになるような形で続く連作で、最後のエピソードも最初のエピソードに繋がるようになっている。
登場するのが全て好人物で、ほっこりできる感じがタイトルにも合っている。


















