小説版『君の名は。』は、新海誠監督による映画を原作としながらも、登場人物たちの心情がより丁寧に描かれており、物語への没入感が深まる一冊です。入れ替わりという不思議な現象を通じて、瀧と三葉の距離が少しずつ縮まっていく様子に胸が高鳴り、やがて明らかになる過酷な運命には強く心を揺さぶられます。映像では語られなかった細やかな感情や背景が補完されており、映画を観た人にも新鮮な感動を与えてくれる作品です。
映画を観てから読むか、読んでから観るか。こう聞かれたら、僕は断然、後者だ。映画を観てしまうと、結末のわかっている物語を、わざわざ活字を追って読むのはめんどうなのだ。でも、活字で読んで感動した物語の映画版は、「あの場面をこんなふうに描いているんだ」という新鮮な喜びがある。本書を読んでひどく気に入ったので、あとから映画を観たが、実によかった。
小説ならではの丁寧な心理描写と、主人公たち、三葉 と 瀧 の心の揺れ動きがとてもリアルに伝わってきて、文字だけなのに映画以上に感情移入できました。特に「身体が入れ替わる」経験に戸惑いながら、それでも互いを理解しようとする葛藤や戸惑いの描写は、読んでいて胸が締め付けられました。 
また、田舎と都会、過去と現在、対照的な世界の風景や時間軸を行き来する設定も、小説の言葉で描かれることで、自分の中でゆっくり“映像”として蘇り、より深くこの物語の世界に入り込めました。 
さらに、ただの恋愛やファンタジーにとどまらず、「記憶」「運命」「再会」をテーマにしたドラマとしての重み、そして“人と人とのつながり”や“奇跡”というものの儚さと希望を、物語の終わりまでしっかり感じさせてくれます。













