ありがとう
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主人公の独特のキャラクターや出てくる登場人物たちも、ただの病院の話とは違う色を加える要素になっていて、面白く読めるきっかけになっていました。 何より、著者が医師だけあって、治療に対する判断の仕方が臨床的だったのも、ただの感動物語とは違うリアルな印象を与えました。
この物語の良さは、どんなに忙しい毎日の中でも真面目に患者と向きあう主人公の行動にあると言う事です。そして、実際に地域の中核病院は忙しいけれど、医師や看護師は主人公たちのように患者と向き会いたいと感じている人も多いと言う事をこの小説を通して伝わるといいなぁと感じました。この著者自身もよい医師なんだろうなぁ。
どのような最期が最もよいのかは、千差万別です。最新の医療で最後まで諦めずに病気と戦うのもその人らしい最期です。だから、この小説のようになにもしないと言うやり方を擁護するつもりはありませんが、自分が望む最期を考える機会になるといいと思います。そして医療者は、最後まで自分のやり方は間違ってなかったのかと悩み振り返る事もこの仕事を選んだ宿命なのだろうと思いました。