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【わたしの手は、そんなに汚いのでしょうか】
このシュールで、不穏で、歪な世界観の虜になり、ページを捲る手が止まらなかった。表題作の『木になった亜沙』は非常にシリアスな内容でありながらも、どこか絵本や童話を読んでいるかのような錯覚に陥る作品で、このなんともいえない独特な雰囲気に圧倒される。表題作も『的になった七未』も、主人公が、自分だけが周りと違う、周りに無視されるというか、まるで自身が存在しないものかのように扱われるのだけれど、彼女たちが純粋無垢であるが故に、私自身やるせない思いが胸に重くのしかかってきた。