元俳優チャールズの開いたハウスパーティーの場で、酒杯を飲んで死んでしまった老牧師。
杯から毒物は検出されず、ポアロでさえも事件性はないと判断していました。
しかしその後、今度はチャールズの友人の医師が同じような状況で死んでしまうのです。
こうなってくると2件の事件には繋がりがあり、老牧師も殺されたのではないかという疑惑が浮上してきます。
最初から老牧師の殺人を疑っていたチャールズ。
そして演劇のパトロンであるサタースウェイトに、
チャールズとは両思いの状態にある女性エッグ。
この3人が探偵役となり、牧師と医師の殺人事件の調査を進めていくことになります。
えっ? と思いますよね。
最初から名探偵のポアロがいるのに、まるでポアロが脇役のような状態になるのですから。
しかもこれはポアロが探偵を引退した後の話。
暇を持て余している老外国人といった雰囲気で精彩を欠いたポアロの様子に、
ポアロ好きの私としては少し心配な気持ちになりました。
結論から言うと、全くの杞憂でした。
やはり幕引きは名探偵でなければ、と思わせられるラストです。
素人探偵3人が事件を追いかける場面は、正直なところそこまでウキウキするような展開はありません。
ですが、そういう場面もあったからこそラストでカタルシスが得られ、読後の満足感に繋がっているのだと思います。
もし途中で退屈さを感じたとしても、これはぜひ真相まで読み進めてほしい作品です。